人間見聞録

以前、デイサービスセンターの運営の中で、利用者さんのご家族との通信を目的とした『〇〇〇通信』を作成していました。その通信のトップ項目に、『この人を・・』と言うコーナーを設けていました。このコーナーは、利用者さんからも、利用者さんのご家族、お孫さん、担当のケアマネさんからも好評でした。

このコーナーを行うきっかけがありました。デイサービス開設から3ヶ月後の誕生会(この世の中に産まれてきてくれて感謝という位置づけで行っていました)の事です。この月は、3組の方の誕生月で、その内2組が夫婦でデイサービスに来られていました。その為、夫婦で記念になる事を・・と思い、ご夫婦ともピカピカに綺麗にさせて頂き、写真撮影を行い、余興を行った後、それぞれから一言頂く・・という流れで進めたのですが、その中のお二人の方のお言葉がとっても心に残った事です。

お二人とも、若い介護スタッフ達に、これだけは伝えておきたい・・という気持ちで、自らの経験で培って来られた智恵を、日頃お世話になっているスタッフに伝えたかったのです。

熱心に語るその語り口と内容を聞くにつれ、『これは、何とかせんといかん』と思い、そのコーナー創りとなりました。

互いに互いを知る事で、より良い介護が出来る可能性と、若い人間が、人生の先輩(特に戦争を体験した年代)から多くの智恵を学ぶ事は、とっても意義ある事になると思っていました。

ある月の通信で、〇〇さんが応募され(ほとんどの利用者さんが応募されたと聞いています)、取材をし、この通信に載せて頂きました。その方は、戦争で中国に行き、脳を戦火の中やられ、医者の診断の結果、生きる望みなし・・と言う事で、死体安置所付近に体を置かれたそうです。当時のその場所は、防空壕だったそうで、そこでは、雨水がヒタヒタと、その方の脳の傷部分に落ちてきたそうです。その後ですが、奇跡的に脳が回復し、診断の結果、良くなっている・・との事。見事生還し、日本に帰国を果たされます。

そして、自分に適する仕事とめぐり合い、会社を興し、現在も続く会社へと成長させたとの事。そんな〇〇さんが、私達スタッフに残して下さった言葉は、『以誠従天命・・人生は、運・愛・忍締』です。

この様に、毎回毎回、人生暦をお伺いしながら、智恵を頂く。何とも充実したデイサービスの運営でした。

今から行う大学事業の中で、これをまた行おうと思っています。題して、『人間見聞録』です。出来た暁には、皆様にもその智恵をお伝えしますね。

Filed under: スタッフ日記 — takaotsuyosi 11:55 AM  Comments (0)
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