人間見聞録・・・伊藤幹郎先生から学ぶ

伊藤幹郎先生・・福岡県立田川高等学校の先生であり、野球部の監督でした。

1980年・・田川高校は、夏の甲子園大会に出場しました。当時は、田川の街から初めての甲子園出場という事で、町全体がお祭り騒ぎ状態でした。

甲子園では、現ソフトバンクホークスの1軍投手コーチの高山さん率いる秋田商業に惜敗をしました。あのイレギュラーがなければ・・・

伊藤先生は、この時の野球部部長でした。私は、当時は中学2年で、右肘が痛く、医者からは、当分野球を辞めなさい。と言われ、なくなく陸上をやっている最中でした。

『田川高校が甲子園に行った!!』・・私の心は、かき乱れ、陸上をやめ、すぐさま野球部に復活する事にしました。『もう右肘が潰れてもいい。俺も絶対甲子園に行く!!』・・周りは見えず、人のアドバイスも聞かず、野球まっしぐらです。

受験シーズンは、1日8時間の猛勉強!!その甲斐があり田川高校に進学できました。

私が田川高校野球部に入った時、伊藤先生は、野球部長でした。来る日も来る日も授業が終わり、野球の練習です。いつもいつも我々選手の為にノックの嵐、練習メニューを考える、練習試合を組んでくれる・・等、私達の為にご尽力を頂きました。

私が高校1年の冬、右肘がパンクし、手術をする事になりました。野球部を辞めないといけなくなったのです。手術から10ヶ月、私が高校2年の時の冬、それまでどのようにして高校生活を過ごしていたか記憶のない私に、ここから鮮明に記憶が戻ってきます。グランドでトレーニングをしている仲間と一緒に練習をしたい!!その思いを、私は、伊藤先生に伝えに行ったと思います。(記憶がありません)その後、仲間と一緒に練習に参加させて頂ける事になり、何とも嬉しい私は、毎日、野球の練習が、みんなとできる喜びをかみ締め、皆を引っ張る位の積もりで、冬の練習に取組んでいました。

長い冬から春を迎えようとしていたある日、キャプテンの鈴木から、『鷹尾、ちょっと・・・』と呼ばれました。この時、伊藤先生は、監督になっていました。

『今、春の大会のベンチ入りメンバーの発表が監督からあった。その中で、鷹尾、お前もベンチ入りになっちょった。先生が言いよったけど、3年がベンチ入りできんでも、鷹尾はベンチ入りさせる位の気持ちだったみたいぞ・・』

その話を聞き、『天にも舞い上がる』とは、まさにこの事を言うのだと思います。ベンチ入りとか、野球の試合とか、全然考えてもいませんでしたが、伊藤先生は、見守っていて下さったのです。零れ落ちる涙が頬を伝い、先生が見ていてくれた嬉しさとかみ締めていました。嬉しかった・・

『人を見守る・人を看る』・・これは、中々難しい事です。どうしても主観や我欲が先に立ち、それが中々出来ません。わが子との関係の中でも、それが中々難しい・・・

その中で、伊藤先生は、私にそれを教えて下さいました。私は、その体験をしてから、何かが変わったと思います。

8歳年下の末の妹、淳子(現在、マザートークとして活躍中!!)が田川高校に行き、伊藤先生と話をした際、伊藤先生がこの様に言ったそうです。『兄ちゃんは元気にしているか?兄ちゃんの事を心配している。兄ちゃんに遊びに来る様に言っといて。』

夏の大会が終わり、抜け殻の様な状態になっていた私、完全燃焼した私、次の目標を見つける事が出来なくなっていた私・・そんな私を案じてくれていたのでしょう・・・

この話は、伊藤先生がお亡くなりになって1年後位に妹から聞きました。『何でもっと早く言わんとや!』

まだ、先生がお元気な時、野球部のOB会があり、それに初めて出席をした際、伊藤先生に当時のお礼を言う事が出来て良かったと思っています。

恩師・・伊藤先生は、私にとって大切な事を教えてくださったまさに恩師です・・・

Filed under: スタッフ日記 — takaotsuyosi 9:49 AM  Comments (2)
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2件のコメント »
  1. 携帯で田川高校を検索していたら偶然見つけました。
    1年後輩の山本です。覚えてらっしゃいますか?
    昨年までは木下秀人先輩と一緒に添田郵便局で働いてましたまた、お会いできる日を楽しみにしています。失礼します。

    Comment by 山本 昌史 — 2011年2月15日 9:06 PM
  2. 久しぶりだね・・よーく覚えてます。今、息子が長崎日大で野球をしています。高校1年です。昨年の夏、甲子園に応援に行ってきました。やっぱり、甲子園は良いよ!我が母校、田川高校が甲子園にいく夢を持ち続けたいね。伊藤先生も、天国で願っていると思う。
    今度、会えた時にでも、お話をしましょう。ありがとう。。

    Comment by takao — 2011年2月16日 12:45 PM
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