愛すべき人々
真夏の暑さ。。
今年も暑い・暑い夏が来る。。今年は暑い夏になりそうだ。。
国内外では、政治家のいろいろな発言が波紋を呼んでいる。。これらの発言を聴くにつれ、10年前に聞いたFさんの言葉を思い出す。。
私が最初に経験させて頂いたデイサービスでの出来事。。
『誕生日の方を称える会』と称して、誕生会を行なっていた。オープン後、2回目の誕生会であった。
この回は、誕生日を迎える利用者様ご夫婦を、めいいっぱいピカピカにさせて頂き、想い出を創って頂こうと言う内容にした。。
ご夫婦で参加をして頂く。。奥様は、お化粧・ネイル・正装・・・ ご主人は、正装をして頂く。。互いに惚れ直して向かった誕生式。。
ご家族から日頃言えない素直な気持ちを手紙に認めて頂いた。。
3組みの主賓者のうち、Fさん(癌に犯され、余命半年と言われていた方だった)の挨拶の時、それは起こった。
奥様と出席されたFさん。。奥様の挨拶が終わり、Fさんの番になる。
『ここは、若い人が多い。皆さんに一言だけお願いがある。それは・・』という内容から始まった。
関東大震災時、朝鮮の方々と復興にかかわったFさん。。その作業は、辛く・心に重いものがのしかかるモノであったそうだ。。そんな作業を、朝鮮の人達が真面目に一生懸命行なってくれたと言う。。
『今の世の中、少しづつ危険な感じがしてきた。皆さん、どうぞ、戦争だけはしないで下さい。良いですか、戦争だけはしないでください』この様に言われた。あと半年という時間の中で、懸命にその発言をされる。。この言葉・この気持ち、その場にいた多くの人達に伝わったのではないだろうか・・
『ありがとうございます。ありがとうございます。。』
心地よい言葉がバスの中を駆け巡る。。
昨日の夕方の出来事であった。バスで帰宅していた私は、バスの前方部の座席に座っていた。。下志免あたりだったと思う。
若い男性と、中年の女性の声がする。『大丈夫ですか?』『この席に座りましょう。ここに段がありますよ。。』
そう言って、老婆をシートに着座誘導されていたのだ。
若い男性は、スーツ姿だ。。
中年の女性は、その老婆の横に立ち、若いスーツ姿の男性は、前の座席に座る。。ほっておけない・・という感じに写った。
しばらくすると中年女性がバスから降りる。。
『ありがとうございます。』
多分、耳がとおいのだろう。。大きく・ハッキリ・気持ちのこもった『ありがとう』の音色がバス中に響きわたる。何とも気持ちが良い。。
そしてバスは下宇美に到着する。。
老婆と男性はそのバス停で降りる様だ。。男性は、老婆を優しくエスコートし、バスから先に降りる。そして、老婆が階段で落ちないように降り口の下で待ち構えている。運転手も、『気を付けて降りてください。』と声をかける。。バスの乗客全てが、バスの降り口に注目している様な雰囲気だ。
バスを降りる際、『ありがとうございます。ありがとうございます。』その声が聞こえる。。
バスから無事降りた老婆に、スーツ姿の男性が声をかける。。『お気をつけて・・』
その後男性が何度か後ろを振り向き、『無事にいけるだろうか?』と老婆に後ろ髪を惹かれていた光景を見る。。
何と清々しい光景だろう。。
これらの登場人物は、無償の愛・・で行動されたと思う。。気がついたら体が反応していた。。と言う事だ。。
これらには、感動が産まれる。。心を奪われる。。自分の利益の為に・・という損得勘定ではない。。
身近な社会に、幾多の愛すべき人達、もっというなれば、幾多の無償の愛が存在する。。人がいい・・と言われてもいーではないか。。
人がいい・・ と馬鹿にされたあの時に感じた嫌な想い。。それに囚われてきた自分にサヨウナラ・・
この愛すべき人達に勇気と希望を戴いた。。